ポジティブシンキングLife

今を愛してあげましょう!

■本当の自分ってなんですか?

人生において自己実現をしましょうとか、本当の自分を探しましょうとか、ある種よがった言い方をすると、余計なお世話的な言い方を時々耳にします。本当の自分ってなに?と思ったこと、ありませんか?本当の自分がいると仮定すると、ウソの自分がいることになります。そのウソの自分とやらがまた理解できない。こういう発想は、学校で個性を伸ばそうと言っているあたりから来ているように思います。本当の自分とは、つまり「個性的にのびのびと生きている自分」のことを言っているのではないかと(好意的に解釈すると)思うのです。

個性的に生きなさいと言われること自体が、余計なお世話なような気もするのですが、とにかく世の中個性流行りです。なぜふつうに、ぼちぼち生きたらいけないのか、説明を受けたことはありません。説明を求めると、きっと、そういう生き方を否定したことはないと言われると思います。確かに明確に否定した言葉は聞いたことがありません。しかし「個性的に生きましょう」というアナウンスがわりに大きな声でなされるものだから、平平凡凡と生きるほうからすれば、肩身が狭く感じるのもまた事実です。

人生において、大きな目標などなく、平凡に生きていくことが大事だと思うのは、本当の自分など探してもどこにもなく、いま生きている自分、たとえば、いまこの文章を読んでいる自分が自分でしかないからです。「本当の自分」を主張する人の「本当」とやらを聞くと「デザイナーになって、海外のコンペで優勝している自分です」とか「やさしい彼を見つけて結婚している自分のことです」などと言います。言い方の問題なのかもしれませんが、それは「本当の」自分ではなく、自分の人生の目標なのです。目標ですよね?彼女たちの言う本当の自分を認めてしまえば、目標を達成するまでの自分は、本当の自分ではなく、ウソの自分ということになります。それでは、自分がかわいそうです。そう思いませんか?

目標を達成しようと思うと、いつまでも夢を語っていないで、いま、この瞬間から目標達成に必要なことをやり始めるしかない。デザイナーになりたければ、この文章を読むのを止めて、手を動かしてデザインの勉強をいますぐやるべきです。素敵な彼氏が欲しければ、友だちに電話をして素敵な男性を紹介してもらえるようにはたらきかけてみることです。それ以外に目標を達成できるどんな方法があるというのでしょうか?

わかっちゃいるけれど…

■でも、わかっているんですよね。

誰だって、今すぐ、行動に移せばいいとわかっていてやらないで「本当の自分」を夢見て語っている。やらないのは、理由があって、どうやっていいかわからないという理由。こうやればいいと思うけれど、その方法で果たしていいのかどうか、迷っているという理由。そういう理由を消して、今日から生き生きと目標に向かって生きていこうと思えば、大きな借金をつくるか、ガンになればいいと、ある本には書いています。極端な言い方ですが、つまり、言いわけがきかないところまで自分を追い込むしかないということです。

借金をこしらえたら何が何でも働いてお金を生まなくてはなりません。ガンだと宣告された瞬間から、余命からの逆算がスタートします。時間がないから必死になって、自分の人生をどうにかしようとします。人って、本当の自分とか個性とか、ややこしい概念を延々と考えるわりに、行動の動機って意外とシンプルなものです。

丁寧さが不足しています

■毎日、ややこしいことを悩まずにシンプルに生きていこうと思えば

いまやっていることを丁寧にやりましょう。それ以外のことをあまり考えることもないのです。目の前のことを丁寧に丁寧に気持ちをこめて行う。裏を返せば、丁寧にできないことはやらない。

若いうちは、自分がどんなことに向いているのかがよくわからないから、あれこれ中途半端に手を出してしまいがちですが、20代も後半になれば、自分がなにに向いていて、どういう人生を送ろうとしているのかが見えてきます。やったところで、あまり意味のないこともでてきます。そういうことはやらないか、やるとしても後回しにして、とにかく自分が気持ちを込めて一生懸命丁寧にできることを、粛々とやっていく。黙って手を動かす。 そうすれば、本当の自分だの、個性だのややこしい概念は抜きにして、平凡でありながらも心豊かな生活が送れます。自分がいまやっていることを愛しましょう。そして寝る前に今日1日、自分がやったことを愛せた自分を、自分で誉めてあげましょう。