ポジティブシンキングLife

犬も歩けばネコも歩く

■じたばたしたところで

景気が悪くなれば、成功哲学の本が良く売れます。今のこの不景気の状況下ではどうなのかよくわかりませんが、昔は景気が悪くなると必ずネットワークビジネスが流行りました。ネットワークビジネスのセミナーに行けば成功哲学は無料で教えてくれます。私はいま毎月400万円の収入があります。とか、そういう話から聞かされて、成功哲学の話になります。挨拶をしましょうとか、いつも笑顔でいましょうとか、常に相手のことを思いやりましょうとか、そういう当たり前のことを言われます。当たり前のことをするということと、月収400万円という数字が、うまく頭の中で結び付かないまま、セミナーは終わります。

ネットワークビジネスの善し悪しはおいておいて、当たり前のことを続けていたら、ある程度自分が望む成果を手に入れることができる。これはいつの時代においても真実です。 物事を始めて、うまくいかないなと思えば、人はじたばたします。試行錯誤するうちは、まだいいのです。試行錯誤しないと上達はないのですから。試行錯誤ではなく、ただじたばたする人が一番よろしくない。基本を忘れてむやみに動く人のことです。おなじテキストを何回も読み返さないで、次々にテキストを変えるのが良くない。毎日やるべきことをやらないのも良くない。

じたばたしている時は、焦っていますから、当の本人にとっては夢を見ている状態です。自分の人生にあり得ないくらいの大きな夢を持たせて、他人が夢の実現のためになにか有益な知恵を貸してくれると思っています。どこかの誰かが、自分にとって有益な他人を紹介してくれると思っています。自分がまっすぐに努力をしていない限り、そういうことが一切ないのが人生です。 当たり前のように毎朝早起きして、やるべき仕事を手足を動かしてやる。 これが成功する唯一の方法で、ほかの道はありません。

人生に期待しない

■それでも、人はよく夢を見ます。

夢は夜寝てから見ればいいのに、昼間から、この仕事をこうやってああやって、最終的にいくらを山分けしましょうみたいな話をします。ここまで露骨ではなくても、白馬の王子様がやってくることを100%諦めていない女性は大勢います。「もしかしたら」と思うんですね。でも、その「もしかしたら」は「もしかしたら」と思っている以上、起こりません。人生とはまことに不思議なもので、「もしかしたら」と思っているうちは、「もしかしたら」は起こらないのに、「もしかしたら」という気持ちを捨てて、一心不乱に努力していたら、「もしかしたら」は起こります。不思議ですよね?

「もしかしたら」と思っているうちは、人をあてにしているのです。自分が今、手足を動かしてなにかをしないとないといけないものを「もしかしたら」というマジックワードで先送りしているのです。「『もしかしたら』寝て起きたら1キロくらい痩せているかな」1キロも痩せません。太ります。

昼間から夢を見る人は危なくてしかたない

■昼間から夢など見ないで、手足を動かしてやるべきことを丁寧にやりましょう。

多くの人は丁寧になどやりません。やっている「ふり」をしています。成果が出るまでやるからやったことになります。答えが出るまで計算し続けるから数学の問題が解けるのと同じことです。答えもでないのに、途中でやめてしまえばやったうちに入りません。やったふりです。答えを見て納得をしても、やったうちに入りません。「ああ、こういうことか」と思って自分の頭の中がすっきりするだけです。出来るまでやる。わかるまで繰り返す。これが当たり前です。そうですよね?

当たり前のことを毎日繰り返し行えるようになると、昼間から夢を見なくなります。昼間から夢を見るアブナイヤツではなくなります。情報の取捨選択がいとも簡単に行えます。アブナイ情報か、正しい情報かを見分ける力がついてきます。自分の人生に過度な期待をしなくなるのです。自分のスタートラインはここ。次に目指すのはここ。自然とそうやって、無理のない目標が設定できます。目標設定に無理がなくなると、目標が達成しやすくなって、達成した自分を自分で誉めてあげることができます。「いつか」目標を達成して自分を誉めようなどとは思いません。極端な言い方ですが明日、地球が終わってしまうかもしれないのです。

今、目標のために手足を動かし、今、小さな目標を達成できた自分を誉めないで「いつ」誉めるのですか? 犬も歩けば棒にあたると言われます。でも、私たちにとってはそういうウイットに富んだ教訓よりか、もっと大事な言葉が必要なようです。 犬も歩けばネコも歩く。当たり前のことをしましょうということです。奇想天外なことをするから失敗するのです。誰でも当たり前のことを積み重ねて大きくなっています。焦らず歩けばいいのです。焦らなくても、犬も猫も私たちも、歩いていればそのうちいろんなものにぶつかるのですから。