ポジティブシンキングLife

ありがとう!というマジック

■マジックワードというものがありまして

雰囲気が好きという人がいます。「彼のどこが好きなん?」「雰囲気」 雰囲気とはその人が抱えている気持ちの表れです。気持ちは言葉にしないと伝わらないと言われることもありますが、言葉にしなくても気持ちは伝わっていると思った方がいいと思います。

会社に行って部長が機嫌が悪そうな時があります。給湯室で「部長、なんか機嫌悪いみたいよ」と同僚と話をします。それくらいの機嫌の悪さならまだかわいらしいもの。給湯室で陰口を言うことすらはばかられるくらい機嫌の悪さを感じることもあります。部長の気持ちは半径10メートルくらいにはじゅうぶんに伝わっています。なにも言わなくても。 そういう空気を切り裂くマジックワードは「ありがとう」です。

「部長、いつもありがとうございます」と言って、お茶の1杯でも持って行けばいいのです。その後、どうなるかはケースバイケースです。 本当に部長の機嫌が悪いと「なにがありがとうやねん」となるでしょうし、そこそこ機嫌が悪かったら部長はひとりで「オレ、なんか感謝されることしたかな」と考えるでしょうね。まあ、大人ですから、たいていの場合は後者のパターンになって、少しずつ固かった空気が和らいできます。

乱用注意だと思います

■世の中、成功哲学が流行っているようで

そういう本にはたいてい、相手になにかをしてもらったら「ありがとう」と言いましょうと書いてあります。そのとおりです。なにかをしてもらって「ありがとう」と言えば、言われた方は「また、この人のためになにかをしてあげたいな」と思います。だから、またなにかをしてくれます。なにかをしてくれたら、お返しとして、なにかをしてあげます。プラスの気持ちが人と人の間を行ったり来たりします。とてもいい雰囲気になります。 人は一人では生きていけないというのは、こういうことを言っています。

人は食べるものがあるだけでは生きていけないんですね。人からもらった前向きな気持ちが三食の飯よりか生きる原動力になるのです。 最近、テレビで観る何人かの有名人が留置所に入りました。その体験をたくましく本にしている人がいます。そういう本を読むと、人の前向きな気持ちを食べられない人のつらさが切々と書かれています。留置所は犯罪者が入るところではなく、犯罪者「かもしれない」取り調べ中の刑が確定していない人が入ります。だから熱々のご飯が出される留置所もあります。熱々のご飯を食べても、死にたいと思ったと本には書かれています。孤独なのだそうです。

本を読む以外、することがなく、誰とも話せないそうです。ありがとうと言える相手がいることは、素晴らしいことなのかもしれません。 ただ、「ありがとう」を乱発しているブログやメルマガが増えているという現象はどうなのかなと首をひねりたくなります。「ありがとうと言っときゃあ、成功するでしょ?だって、成功法則が書いてある本にそう書いてあったもん」そういうふうに読みとれます。偏見かもしれませんが。ありがとうは、そういう意味ではむずかしいですね。言えばいいと言うものではない。言葉から雰囲気が出ている言葉なのです。

認めるから認められる

■「ありがとう」がマジックワードだという理由は

相手をものすごく認める雰囲気を持っている言葉だからです。なにかをしてくれて「ありがとう」と言うと、それは相手のしてくれたことを認めていることになり、相手の気持ちを認めていることになり、相手の過去や未来をも認めている言葉になります。 「新幹線のチケット、予約しておいたから」「ありがとう」 予約をしてくれたこと。予約をしようと気をまわしてくれたこと。予約を手早くできるあなたの持っているスキルのこと。これからもなにかあったら気をまわして予約をしてくれる優秀な人でいてね…という未来のコト。すべてを肯定してしまう言葉です。

人は人を認めるから人に認められます。相手を認めて受け入れられない人が、相手に受け入れられることは、まずないでしょう。金子みすずさんの「みんなちがってみんないい」という詩が、昨年(2011年)たくさんテレビCMで流れました。震災の影響でCMの放送を自粛した企業が多かったので、空いたCM枠を埋めるために流されただけなのかもしれませんが、「みんなちがってみんないい」は、相手をまるごと全部認めることの大切さを物語っています。

「なんか最近、自分、空回りしてるな」そう思えば、今日から「ありがとう」を乱用してみましょう。「ありがとう」を使う場所を間違うと、ちょっと気恥ずかしくなります。「ありがとう」と相手に言われたら、空回りしている自分が小さく思えてきます。そういう細かな自分の気持ちの揺れを知ることが自分の立ち位置を知ることであり、「ありがとう」を品よく使いこなせる人への階段を登ることに繋がります。 長い文章を読んで頂きありがとうございました。