ポジティブシンキングLife

本当の自分がいるというウソ

■キレイ事で人は生きていけない

この世の中において大きな声では語られないけれど、知っておくべきことがあります。自分のやりたいことを見つけるのには、多くの時間とお金がかかるという事実です。学校では「個性を伸ばしましょう」と盛んに言っているそうですが、自分がなにが好きなのかを知るためには、時間とお金がたくさんかかるから、平凡に生きたい人は、平凡に暮らしなさいというアナウンスは、あまりなされていないようです。

全員がなにかきらりと光る個性を秘めていて、その個性がお金になる、仕事になるというのは幻想です。文部科学省の人たちが、毎晩徹夜してつくった幻想なのかもしれません。 そういう幻想に生きているから、多くの若い女性は夢を見ています。たとえば「私も憧れのモデルさんのようになれるかな」と。そうして、モデルプロダクションもどきの社名を名乗るスカウトマンに騙されて、高額な美顔器を売りつけられて、ローンの返済に困ります。

騙された自分が恥ずかしいから、誰にも相談できません。悪循環です。 自分がしたいことを見つけるのには、時間とお金がたっぷりかかること。 誰もがきらりと光る個性など持っていないこと。 この2つは、よく認識しておいたほうがいいでしょう。

変わらない自分を知ろう

■こういう話をするとよく夢がないと言われます。

たしかに書いていても夢がないかもなあと思います。読んでいるほうはもっとそう思うのでしょうね。自分がしたいことを見つけるという作業は、変わらない自分を知ることとイコールです。たとえば、幼稚園の卒園文集に「私は将来、花屋さんになりたいです」と書きました。小学校の卒業文集に「私は将来宝塚劇団に入りたいです」と書きました。高校の卒業文集に「私は将来薬剤師になります」と書きました。つまり「私」はどんどん考え方を変えていっています。でも、その根底に変わらない私がいます。

変わらない私がいないと、今頃あなたは精神病院に入っていると思います。自分を自分として認識できていないことになりますからね、理屈の上では。変わらない私とは、人に対して物腰がやわらかい自分であったり、初対面の人とはうまく喋れない自分であったりします。変わらない自分を常に見ていれば、人はだいたいどんな職業に就こうと、どこでなにをしていようと自分らしく生きていけます。

好きな仕事をするより生き生きと暮らすこと

■そもそも、みんながやりたいことを見つける必要性もなければ

好きなことを仕事にする必要性もないわけです。どんな仕事をするのかよりも、どうやれば生き生きと楽しく暮らせるのかを考えた方が、人生はずっと充実したものになります。 もっと言えば、どんな状況に置かれても、自分らしく振る舞えることがすごく重要です。それがわかっていても、あくまでも自分がしたいことを探したい!と思えば探してください。自分の「好き」を仕事にしたいのなら、がんばって仕事にしてください。そう思います。見つかるまではすごく大変だと思います。

自分よりも先に自分がやりたい仕事に就いている人を見て羨ましく思うと思います。嫉妬もするでしょう。 人生は意外と長いので、ゆっくりやればいいと思います。10代は短い。20代も短い。30代だって短い。でも人生は長いのです。長い人生において、邪魔になるのは「みっともないこと」です。やりたいことが見つからずに自暴自棄になって、焦って、暴走族になる…みたいなことです。適当なたとえが見つからなかったので暴走族と書きましたが、「若気の至りで…」とあとから説明してしまうようなことはやめておきましょう。本当の自分なんていないのですから。焦るというのは、したいことが見つからないのではなく、いま、それをしていないということです。

ならば、いますぐやりましょう。お金がかかることもあると思います。そういうことはすべて後回しです。今できることを探してやりはじめましょう。絵を描きたいとか、音楽をつくりたいとか、そういうクリエイティブな人たちは、少々、難しいこともあるでしょうね。表現したいものがなければものはつくれないから、まず、表現したいものを探すところから始めるしかないでしょうね。絵を描くテクニックや音楽をつくるテクニックは誰でも学べます。たぶんインターネット上にもそういうテクニックを説明しているサイトがあると思います。

でも自分がなにを表現しようとしているのか、自分が描きたい物はなんなのかを説明してくれるサイトはありません。答えは自分のなかにしかないので、それが見つかるまではしんどいでしょう。それでも、変わらない自分を知って、生き生きと生きていける方法を考えましょう。 心底、画家になりたいと思っているのに、描きたいことが浮かんでこず、生活のためにコンビニでバイトをしているというのは、つらいものですが、それもまた、経験です。人生は長いのです。本当の自分など追い求めず、いまを生き生きと生きていれば、どんな物事にも答えは勝手にやってきます。